君は今、こんなふうに毎日いじめられ続けるなら、
死んでしまいたいと思っているかもしれない。
しかし、ひとつ考えてほしい。
ジャンケンという遊びがある。
いじめっ子たちが振りかざす“こぶし”は
さながら“石”だ。
“石”は“ハサミ”が“歯が立たない”ことをいいことに、
“ハサミ”をいじめようとする。
しかし“石”は“紙”には勝てない。
それは、“紙”に“包まれて”しまうからである。
そう。“石”には“包んで”しまえば勝ちなのである。
これはジャンケンの上での話だが、
現実には“石”は、時に“紙”さえも破ろうとする。
しかし、現実の“石”は、固くて重いがゆえに、
水の中に没したら、二度と自力では出て来れないのである。
“石”では 決して船を造ることはできないのである。
それが“石”というものだ。
“石”が、日頃“ハサミ”をいじめ、
時に、“紙”さえも破ろうとするのは、なぜか――。
それは、“嫉妬”があるからである。
人には、それぞれ、かけがえのない
“価値”がある。“才能”がある。
“石”は、いかに頑丈で強そうに見えたとしても、
その心の奥底(おくそこ)では、
“ハサミ”や“紙”の“才能”に嫉妬している。
僻(ひが)んでいるのである。
だから、いじめる。
また、“石”には“序列”がある。
ただの“石ころ”は、
いつも“ダイヤモンド”に脅(おび)えている。
また、“石”は、いつ水中に没するか、わからない。
だから、その恐怖感を弱い者にぶつけてしまうのだ。
もちろん、だからといって、
イジメが正当化されるわけではない。
ならば、この不幸な流転を留(とど)めるものは何か――。
それは、そういう「弱肉強食」のループから
抜け出すことである。
君は それを知っている。
だから“ハサミ”の君は、
いかに自分が上手に“紙”を切ることができても、
それを ひけらかすことなく、“石”に負けてしまうのだ。
あるいは、また、“紙”と結託して、
“石”を 包んでしまおうともしない。
君は、そもそも、そんな低次元な“勝負”は
相手にしていないのである。
だから、それゆえに、低次元な人たちに
いじめられてしまうともいえる。
彼らは いずれ 社会に出て、
いかに自分たちが低次元なことで争っていたか、
痛切に感じる時が来るだろう。
だから君は、君自身の道を進め！
低次元の「弱肉強食」の世界に負けるな！
君は君の“切れ味”を鋭くすることに、
“刃”を研ぐことに、専心せよ！
また、いかなる“石”にも破れぬ“紙”になれ！
そうして“石”を包み込め！
そうして、いつしか、君が気づいた時、
君の周りには、美しい花園のような世界が広がり、
そして君は その中心の大樹となっていることに
気がつくであろう。